日本軽巡洋艦「名取」(タミヤ700)

 このキットは東大阪市で働いているときふと立ち寄った小さな模型店で購入したものだ。たしか東大阪市の岩田町3丁目か若江本町あたりだと思うんだが、なにしろ昔の駄菓子屋を思わせる店構えで、古く小さかった。もしご存知の方いらっしゃいましたら御一報下さい。
 さて、キットのほうだが、これはタミヤが新規開発したものということで、部品の精度がこのシリーズのなかでは高いものとなっている。特に船体が反っておらず、置いたときピタッときまるというのはありがたい。船体が反って艦首や艦尾が浮いてしまうと興ざめするよね。


 
魚雷発射管を2基装着した後、船体と艦底部を接着。船体周囲には舷外消磁電路がモールドされています(左写真)。これはこのキットの設定年代よりあとの仕様になるらしいので削り取ります。同時に船体と艦底の接着面をペーパーで整えていきます。そして側面の排水溝もペーパーをかけているうちにモールドが甘くなってしまいましたのでいったん落とします。

  

 その後いったんサーフェイサーを吹き、表面をみていく。
 大きなきずは修正していきますが、700の艦船ということで適当でいいでしょう。



 次にエッチングの手すりを接着していきます。接着場所に手すりをマスキング・テープなどで固定し、瞬接を微量ずつ流し込んでいきます。後部甲板(下右)は曲線が多いため本体に付ける前に接着すると良いでしょう。

           

 後部甲板を接着しますが、その前にリノリウムの部分をあらかじめ塗装しておきます。
 下はゴールド・メダルモデルズのエッチング・パーツで、カタパルトとプロペラが写ってますが、プロペラの左の部品は「ボートのオールです」だって!! こんな小さいの使うやついるのかよ! 


                             


 エッチングのカタパルトを組み立てます。


 エッチングはゴールド・メダル・モデルズの「日本海軍巡洋艦・駆逐艦用」です。トムズ・モデルワークスのものより、エッチングが厚めで、頑丈。金属のテンプレートなどを当てて曲げますが、くにゃ、とならず、しっかり曲げられる。

 カタパルトの台座がキットではやや高さ不足のようなので、箱絵を参考にプラ板を入れてみました。砲塔は先に接着しておきます。




 後檣の組み立て途中です。

 クレーンはエッチング・パーツから。で、これを後檣の骨格に接着します。後檣は真鍮線で組み上げます。クレーンの先端の引っ掛ける部分もエッチングで用意されていて、ピンで装着するようになっています。息を吹きかけると揺れたりなんかしてうれしい。








 階段です。
 んー、やっぱりエッチングがあると精密っぽくなっていいよね。ゴールド・メダル・モデルズもトムズ・モデルワークスもアメリカのメーカーだけどさ、日本製のものもあってもいい気がするよね。このまま両メーカーとも存続してくれればいいけど、供給されなくなるかもしれないしね。



 エッチングがないと船の模型作れないよね。
 大昔、モデルアートに手すりを付けた400くらいの艦船が載ってたんだけど、すげえな、どうやって手すりを作ったんだろう、と思ってその作者に手紙を出したんだけど、その人は一本一本真鍮線を埋め込んでいって、それにぐるっと細い線を巻いていったみたいよ。
 すごいな、と思ったけど、近年エッチングが出るようになってようやく船のモデルも見れるようになってきたわけだから、なんとかこの環境を維持したいよね。





 後檣を真鍮線で組み立てていきます。探照灯まわりはキットから。その上のところは、キットではややゴツいのでプラ板で作り直しました。

 本当はもう少し作り込んでいかないといけないところなんですが、作業している間に手すりが取れだしたりしたし、「お前いい年してそんなことよりすることがあるだろ」という内なる声もあり、面倒くさくなったのでやめました。

 クレーンの先っぽを手でちょんとやって揺れる姿を見るのが今一番の幸せです。ク、クラい!!






 水偵ですが、ちょっと手を入れてみます。
 上翼をプラ板で作り直します。下翼は薄く仕上げます。垂直尾翼、水平尾翼は切り離しプラ板に置き換えます。上翼・下翼間の支柱は適当なエッチング・パーツを見つけ接着しました。

        

 艦橋は特に問題なさそうなんですが、羅針艦橋っていうんですか、ここが写真を見るとどうも密閉型ではなく、窓ガラスがない吹きさらしっぽいので、作り直しました。「歴史群像vol18特型駆逐艦」に200の阿武隈が載ってるんですが、窓ガラスなしで作られています。窓ガラスだったら透明プラ板でもいいかも。
 上端をカットしエッチングを窓枠にします(上右)。エッチングは駆逐艦用に入っていた爆雷投下軌条の一部を切り取ったものです。キットはモールドも良くそのままでもよかったんですが塗装で表現するのが嫌でしたので.. 


 トップは天幕でしょうか。詳しい図面がないのでよくわかりませんが一応キットのまま左のように取り付けました。

 そして艦橋の裏、左のように3層になっているはずなんですがキットでは上2層しか再現されていませんのでプラ板で最下段を組みます。

 2階部分の階段はエッチングを使います。

   ということで艦橋、煙突を組んでいきました。

 艦橋後部のマストは真鍮線に換えます。
 前檣のクロスツリーはさすがタミヤでとてもシャープな仕上がりになっており助かります。

 煙突には支えるワイヤが張ってあるので付けてみました。あと煙突の周囲には配管が通っていますのでそれらしく真鍮線を付けます。

 そして魚雷発射管の上の、前部甲板と中部甲板を渡る橋、ここに手すりがあるようなので付けてみました。



張り線に入っていきます。

手すりはだいたい接着できたんですが、だんだん持つところがなくなってきますので、艦首部分は後にしました。線はランナーを伸ばしたものを使います。線が太すぎると興ざめですのでできるだけ細い物を用意します。たるまないようにできるかぎりピンとしていきますが、瞬接がなかなか固着しなくて苦労します。
と、このあたりまで完成に向かって順調だったわけですが、しばらく放置していてふと見ると全部切れていました..